街中で飾られているのれんの意味は?のれんの種類や違いも解説します!

「のれん(暖簾)とは何のこと?」「店先にのれん(暖簾)を飾る理由は?」このような疑問をお持ちではないでしょうか。
のれんは長い歴史を持ち、現在でも多くの用途で使用されています。このコラムでは、のれん(暖簾)の意味や用途、種類や色についてご紹介しています。
のれん(暖簾)の意味
のれん(暖簾)とは、布製の簾(すだれ)のことで、現在では店先に使われているのをよく見かけますが、会計基準でも「のれん」という言葉が使われています。
のれん(暖簾)の由来や用途、会計基準ののれんの意味や違いをご紹介していきます。
のれんの由来
のれんは漢字で暖簾と書き、暖かい簾(すだれ)という字面です。暖簾は本来「のんれん」と読まれていましたが、のんれん→のうれん→のれんと変化して、のれん(暖簾)という名称が生まれたと言われています。暖かい暖簾という文字からもイメージできるように、元々は「風を防止する」ことや「日差しを防ぐ」「人目を避ける」といった用途で使用されていました。
のれんの用途


のれんは、店舗の看板や目印、広告などに使われていますが、目隠しや日除けなどの役割もあります。また、舞台の楽屋や銭湯・温泉などの仕切りでも使われるなど、用途はさまざまです。さらに店舗の営業時間を知らせる意味合いもあり、のれんがかかっていれば営業中、のれんがしまわれている場合や裏返しになっている場合は閉店中を表します。
インテリアとしておしゃれなのれんもありますので、部屋の中にタペストリーのように飾ることもできます。
会計基準ののれん
店頭の飾りや仕切りに使われている布ののれん以外に、会計基準でも「のれん」という言葉が使われます。
会計基準ののれんとは、M&A(企業買収)を行った際に発生する、買収された企業の時価評価純資産と、実際の買収価額との差額のことです。差額ですから、プラスの場合とマイナスの場合、どちらもあります。簡単に言うと、のれんがプラスであれば「お買い得だった」ということになります。
会計基準で使われているのれんの語源は、店の信用を表す布ののれんであり、ブランド力や信用力を表す意味として、会計業界でも使われるようになったと言われています。
のれん(暖簾)の種類やそれぞれの用途
のれん(暖簾)には、以下のようにさまざまな種類があり、用途もそれぞれ異なります。標準的なのれんのサイズは、丈が昔でいう鯨尺の3尺(113cm)の長さのものです。のれんは丈の長さにより呼び名が変わり、以下のような種類があります。
- ● 長のれん
- ● 半のれん
- ● 水引のれん
- ● 日除けのれん
- ● 玉のれん(珠暖簾)
それぞれののれんを簡単にご紹介していきます。
長のれん
長のれんは、間仕切りをすることが本来の目的ですが、目隠しや日除けとしても使われているのれんです。長のれんは長さが約150cm~160cmあり、標準的なのれんの約1.4倍のサイズで、隠れ家的なお店など店内をあえて隠したい場面で使われることが多くなっています。

半のれん
半のれんは、居酒屋や蕎麦屋で使われることの多いのれんです。半のれんは標準的なのれんの丈とくらべて、約半分の長さ56cmほどのサイズで、店内の様子や商品が外から見えるように工夫されたのれんだと言われています。

水引のれん
水引のれんは、軒先に一日中飾る家印としていたもので、現在では装飾用として使われることが多いのれんです。水引とは祝儀袋や不祝儀袋の表に用いられる飾り紐のことで、水引のれんは半のれんより短い40cmほどのサイズとなっています。

日除けのれん
日除けのれんとは、1枚の縦長の布を軒先に張って設置するものです。日除けのれんは日除け幕とも言われ、日除けをしつつ広告として宣伝ができます。江戸の町並みは建物が多く、ほかの店と区別するために日除けのれんが飾られていたと言われ、現在では和風のお店などで使用されています。

玉のれん(珠暖簾)
玉のれんとは、玉をたくさんぶら下げたものです。木製の玉に穴を開け、紐で通し、何本も吊り下げたもので、大きい玉や小さい玉を組み合わせて模様を再現します。玉のれんは真ん中にスペースがあり、人が通りやすくなっているものが多いことが特徴です。

のれん(暖簾)の色による違い
かつてのれん(暖簾)は、染色技術の進歩によりさまざまな色に染められ、色ごとに用途や業種が分かれていました。以下のような色付きののれんが、例としてあげられます。
- ● 紺・藍色のれん
- ● 赤色のれん
- ● 柿色のれん
色付きののれんは街中で見かけることが多いです。のれんの色による違いを簡単にご説明していきます。
紺・藍色のれん
紺・藍色のれんは特に商家である、酒造業や呉服店で使われていました。のれんを染める際の「藍」のにおいを虫が嫌うため、虫よけとして飾られていたという歴史もあります。
紺・藍色のれんは海の色のイメージが強く、現在では魚屋や寿司屋で使われることが多くなっています。

赤色のれん
赤色のれんは、以前は「安価な飲食店」という意味で使われていました。赤色は食欲を刺激する色であると言われており、赤色のれんは現在でも飲食店などで広く使用されています。
赤文字が使われたのれんは、赤色のれんとは異なります。赤文字を使ったのれんは、「赤字」を指すという理由であまり使われていません。

柿色のれん
柿色のれんは、かつては高級料亭・宴会場・遊女屋など、限られた場所でしか飾ることができませんでしたが、次第に文化が廃れ大きな料亭などでも利用されています。
「かちん染め」という染色技術から生まれた赤茶色のことを柿色と呼び、現在では菓子・茶・呉服などを扱うお店でよく飾られています。

まとめ
のれん(暖簾)の意味や用途、種類や色についてご説明してきました。のれんは長い歴史の中で形や用途を変え、現在でも幅広い用途で使われています。
のれんについて正しい知識を身につけ、お店を開く際ののれん選びなどの参考にしてください。