のれんに使われる生地には何がある?種類や特徴、選び方を解説

のれんに使われる生地には何がある?種類や特徴、選び方を解説

のれんの生地には天然繊維や化学繊維など種類がたくさんあってどれにすればよいか悩んでしまうかもしれません。のれんに使われる生地の特徴を詳しく解説していきます。

のれんの生地の種類や特徴

のれんの生地の種類には綿や麻、化学繊維などがあります。薄手のものや厚手のもの、防炎加工がされているものなど特徴もさまざまなので用途に応じて適した生地を選ぶことが大切です。
業者によって取扱いのある生地が違う場合があるので、生地の特徴を知ったうえで耐久性や発色などにも注意しながら希望にあったのれんを作成するようにしましょう。

綿の生地

綿の生地

植物の綿(わた)から作られる天然繊維で「コットン」とも呼ばれています。吸水性が良く、肌触りが良いので衣類にはもちろん、寝具などにもよく使用されています。耐熱性も高いので、アイロンを高温でかけても生地が傷むことはありません。
綿の生地はのれんによく使われる定番の生地です。

綿の生地の種類についてご紹介します。

シャークスキン

シャークスキンは「鮫の肌」のように表面に凹凸があり、少しザラザラとした手触りが特徴です。規則正しく並んだ折り目が美しく、耐久性や価格、ほどよい厚みと伝統的な風合いなど総合的なバランスが良い生地です。繊細な印刷でもにじみにくいので幅広いデザインが可能で、さまざまな用途で活用されています。

天竺木綿

天竺木綿は綿生地の中でも一番薄く、平織りで織られた生地です。価格も比較的安く、既製品ののれんでも多く使用されているため、目にしたことがある方も多いでしょう。使い勝手が良いので幅広い分野で使用されています。
天竺木綿の中には「10番天竺」という太めの糸で織られた生地もあり、普通の天竺木綿よりも厚みがあるためしっかりとした重みがあり、丈夫さが増します。

オックス

綿を縦糸、横糸ともに2本ずつ揃えて高密度に織られた生地がオックスです。「オックスフォード」とも呼ばれます。また、縦糸2本に対し、太めの横糸1本で織られた生地もあります。入園入学グッズ用に販売される手作り用の布の生地はこの織り方のものが多いです。
柔らかさもありながら高密度に織られているため耐久性が高く、シワになりにくいという特徴もあります。

カツラギ

カツラギは綾織で織られた綿生地で厚みがあります。白や黒などのジーンズの生地としても使用されています。綾織という織り方は生地が柔らかくなるのが特徴で、太い糸で織られているのでオックスよりも厚みはありますが、帆布ほどの硬さはありません。
耐久性もありながら柔らかいデニムのような風合いを持った生地といえます。

ブロード

ブロードは平織りで織られた薄手の生地です。細めの糸で織られているので生地に柔らかさがあります。縦糸と横糸は同じ太さですが、縦糸の方が横糸よりも密度が高く織られています。目が細かいので光沢感が美しく、上品な印象が特徴の生地です。伝統的な和の雰囲気を持つのれんというよりも近代的な異国の雰囲気を思わせるのれんを作成したい場合におすすめです。

帆布

帆布は平織りで織られた厚手の生地です。キャンバス地のトートバッグとしても馴染みのある生地です。帆布には11号帆布、9号帆布などの番号があり、数字が小さくなるほど生地が厚くなります。11号帆布は帆布の中では最も薄手になりますが、のれんの生地としてはかなり厚手となり耐久性があります。用途として日除けのれんなどに使用されます。
9号帆布は柔道着などにも使用され、11号帆布よりも厚みと重さが増すため、より重厚感を出したい場合におすすめです。

シャンタン

シャンタンは規則的に並ぶ縦糸に対して、横糸の細い糸や太い糸がランダムに並んで織られている生地です。上品な光沢があるので高級感を出したい料亭や旅館ののれんにおすすめです。無地でも生地の織り方に特徴があるので、シンプルな無地のデザインに店名だけを印字すると、品もありながら生地にこだわりを感じさせるのれんが完成します。

ブッチャー

ブッチャーは平織と斜子織が組み合わされ、表面に不規則な凹凸がある薄手の生地です。麻のような見た目で、編み目が粗いため風や光が通りやすく、涼しげな印象を与えることができます。シャンタンと同様、織り目に特徴があるので料亭や旅館など高級感を出したい店舗におすすめの生地です。

スラブ

スラブは横糸縦糸ともに太さが不規則で格子状に編まれているやや厚めの生地です。シャンタンやブッチャーと同じく高級感のある見た目で、ざっくりとした和の雰囲気を出したい場合におすすめです。織り目が不規則なので繊細なデザインと組み合わせるのにはあまり向いていません。

かえで

かえでは縦横に不規則な織り目があるやや厚めの生地です。特徴的な生地で知名度はあまり高くありません。漂白をしていないナチュラルな風合いの生成りの生地もあります。他では見ないような生地で一般的に知られているのれんと差別化したい方は、かえでを使用したのれんを作成すると良いでしょう。

かすみ

かすみは、かえでよりも薄手の生地で、山のふもとにかかる「霞」のようにもやが立ち込めているように見える織り目の特徴的な生地です。麻のような見た目のブッチャー生地と似た雰囲気があります。ブッチャーよりも不規則に並んだ織り目は伝統的な印象をもたらし、和の雰囲気にぴったりの生地です。生地が特徴的なので他のお店と一線を画したい人におすすめです。

麻の生地

麻の生地

麻は植物の茎の部分の繊維からできています。柔らかく温かな雰囲気の綿生地と違い、シャリ感があり、薄手のハリのある生地で涼しげな印象があります。
生地の味のある雰囲気を活かして無地のまま屋号やロゴなどをワンポイントにしてシンプルに仕上げても素敵に仕上がります。

価格は綿に比べて高価になりますが、高級感が感じられるのれんにしたい、落ち着きのある雰囲気にしたい方におすすめです。

麻の生地の種類についてご紹介します。

生成り色の生地です。生地の風合いをそのまま活かして高級旅館や飲食店の店舗のれんとして存在感を出したい方におすすめです。

白麻

生成り色の麻を漂白して、白くした生地です。より上品で洗練された印象を与えることができます。素朴でナチュラルな印象の麻よりも、爽やかな趣を演出してくれます。高級感を出したい旅館や飲食店の店舗のれんとしておすすめの生地です。

化学繊維の生地

化学繊維の生地

化学繊維の生地は主にビニールやポリエステル製でできています。綿や麻などの天然繊維に比べ、化学繊維は印刷がしやすく、フルカラー印刷にも対応しています。
また、天然繊維よりも安価で作成でき、加工も可能なため、複数枚作成したい場合や凝ったデザインののれんを作りたい場合にもおすすめです。

化学繊維の生地は屋外に設置しても日焼けや劣化しにくく、耐久性が高いのが特徴です。生地の質感は加工方法にもよりますが、化学繊維特有の光沢感やなめらかさがあります。

化学繊維を用いたものの中には綿風や麻風に仕上げたものもあるので、価格を抑えつつ天然繊維の風合いに似たものを作りたい方は検討してもよいでしょう。

化学繊維の生地の種類についてご紹介します。

テトロンポンジ

薄くて裏抜けがよいテトロンポンジの生地は、安価なのでコストを重視する方におすすめです。
発色がよく印刷にも適した生地なので、のれんにフルカラー印刷を施したい場合にも活用できます。

トロピカル

のれんの生地としては薄い方ですが、テトロンポンジよりも少し生地が厚いのがトロピカルです。テトロンポンジ同様フルカラー印刷に向いているので、凝ったデザインののれんにしたい方におすすめの生地です。

トロマット

トロマットはトロピカルの2倍以上の糸の太さで織られた生地なので、耐久性が高く厚みもあります。銭湯や温泉などののれんにもよく使われるため、馴染みのある生地です。フルカラー印刷も可能で、屋外の使用にも向いています。
トロマットはツヤなし加工もできるため、ツヤを出したくない場合にもおすすめです。

防炎トロマット

トロマットに、防炎加工を施した生地です。屋内で使用するのれんには防炎加工を施すことが義務付けられているので、屋内使用の場合は防炎トロマットののれんがおすすめです。

エステルハンプ

天然繊維の帆布を模して、ポリエステルを平織りして作られた生地です。天然繊維よりも軽く、水に濡れても縮まない特徴があります。日光による変色に強く、耐久性も高いので、綿の雰囲気を出しつつ劣化に強いのれんが欲しい方におすすめです。

エステル麻

天然繊維の麻を模して、太さの違う糸で織られたポリエステルの生地です。麻に似た生成り色をしています。天然繊維の麻は印刷に向いていませんが、エステル麻はフルカラー印刷も可能なので、麻の風合いを保ちつつ、印刷もしたい方におすすめです。

ターポリン

ターポリンはポリエステルの布を合成樹脂で挟んだ塩化ビニール生地です。耐水性が高いので屋外の雨風にさらされる環境に設置するのれんにおすすめです。ビニール生地なので表面の質感はツヤツヤとしたテカリがあります。耐久性にも優れています。

のれんの生地は使う場所や用途、雰囲気などに合ったものを選ぶようにしましょう。生地の風合い、印刷のしやすさ、価格などを見ていくと、イメージに合うのはどの生地か絞り込むことができます。
天然繊維の風合いを取り入れた化学繊維の生地などもあるので、どちらかで迷う方は検討しても良いかもしれません。
生地の特徴を踏まえたうえで、のれんを作成する際に参考にしてください。