染め抜きとはどのような制作方法?ほかの印刷方法と比較しながら解説

染め抜きとはどのような制作方法?

染め抜きと聞いて、
「染め抜きって何?」
「染め抜きの製造方法・過程が知りたい」
「染め抜きの特徴や、ほかのプリント方法との違いが知りたい」
このような疑問や考えが浮かんだのではないでしょうか。

このコラムでは、のれんの場合を中心とした染め抜きの概要をはじめ、ほかの印刷方法との違いやメリット・デメリット、染め抜きが使われやすいのれんについてお伝えします。

染め抜きについて簡単に理解できる内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。

染め抜きとは、裏面まで色を染める制作方法のことです。染め抜きを行った生地は、「表側と裏側で絵柄の濃さがほとんど変わらない」という特徴があります。

また、染め抜きは昔からの伝統的なのれんの制作方法です。染めない部分にのりをおいて、刷毛で引いて染める、という作業を行っていました。

現在では、のれんのほかに、着物や浴衣などの「柄入れ」や「紋入れ」にも染め抜きが使われることが多いです。染め抜きは、格式高いものとされやすい背景から重宝されています。特に、染め抜きで入れた家紋「抜き紋」が入った着物は、フォーマルな装いとして扱われやすいでしょう。結婚式や祝いの席で見かける機会も多くなっています。

のれんの場合、染め抜きと異なる制作方法には、片面だけプリントするフルカラー印刷があります。

フルカラー印刷は、デザイン面を昇華転写捺染(印刷)やダイレクト昇華印刷で行うことが多く、何色使っても金額が変わらない、という特徴を持ちます。

昇華転写捺染(印刷)は、デザインを転写紙に印刷したものを、生地の上にのせて熱を加えて転写させる方法です。「生地の表面を染める方法」と考えるとよいでしょう。

一方で、ダイレクト昇華印刷は、デザインを直接生地に印刷して、その後に熱を加えて定着させる方法です。「生地にインクをのせる方法」とイメージするとわかりやすいです。

昇華転写捺染(印刷)に関しては、以下のコラムでも詳しく説明していますので、参考にしてください。

昇華転写プリントについて見る

ここでは、染め抜きの特徴として、メリットとデメリットを紹介します。

染め抜きのメリットは、高級感を演出しやすいことです。

裏面までしっかり染料がしみこんでいるため、のれんの裏表で色の濃さがほぼ変わりません。そのため、裏からでもロゴや絵柄がはっきりと見え、印象に残りやすいでしょう。

また、染め抜きは摩擦に強く、耐久性に優れているのも利点です。人がくぐる所に使ったり、屋外に使用したりと、幅広いシーンで利用できます。

染め抜きは、多くの工程が必要なことがデメリットです。

デザインを決定してから版を作り、手作業で染めるため、時間がかかります。また、複雑なデザインは不向きであり、色が増えるほど割高になる傾向がある点も注意してください。

発注する場合は、早めに業者とデザインや納期などを打ち合わせしておくと良いでしょう。

染め抜きが使われやすいのれんについて紹介します。

飲食店などの玄関に掲げるのれんには、染め抜きが良く使われます。
お客様がお店を出るときには、多くの場面でのれんの裏側が見える状態になるでしょう。そのため、染め抜きを使うとより高級感が出やすく、印象にも残りやすくなります。

イベント空間に吊り下げるのれんにも、染め抜きが使われやすいです。
結婚式の披露宴会場や大きなイベント会場の装飾としてのれんを飾る場合は、人の行き来も多く裏側までデザインが見えやすくなります。そのため、裏から見ても表側と同じくらい色がはっきりと写る、染め抜きが重宝されやすいのです。

また、楽屋のれんは贈り物として人に渡すもののため、高級感のある染め抜きが用いられやすいです。

ただし、厨房やキッチンカーの目隠しや仕切りなど、店舗・主催側しかのれんの裏面を見ることがない場面であれば、フルカラー印刷でも問題ないでしょう。

今回のコラムは、染め抜きの概要をはじめ、ほかの印刷方法との違いやメリット・デメリット、染め抜きが使われやすいのれんについてお伝えしました。

伝統的なのれんの制作方法である染め抜きは、高級感があって華やかな印象を持ち、多くの人の目を惹きつけるでしょう。

のれん制作時には、染め抜きも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。