昇華転写プリントとは?メリットやよく使われている商品も紹介

昇華転写プリントとは?メリットやよく使われている商品も紹介

印刷方法の一つに、昇華転写プリントというものがあります。幅広い素材に印刷できる上、繊細なデザインでも鮮やかに仕上がるため、ノベルティやオリジナルグッズ作成の際に用いられることが多い方法です。

この記事では、昇華転写プリントの概要に加え、昇華転写プリントがよく使われるアイテムとメリット・デメリットについて解説しています。以下にまとめた内容を押さえておけば、グッズの印刷方法を決める際に有効な判断材料にできるでしょう。

昇華転写プリントとは

まず始めに、昇華転写プリントの特徴や仕組みといった概要について、以下にまとめました。

昇華転写プリントの特徴

昇華転写プリントとは、昇華型インクを使って転写紙にデザインを印刷し、熱を掛けることでインクを浸透させる印刷方法のことです。転写紙と印刷対象とを貼り合わせて高温で加熱するので、転写紙から印刷対象にしっかりとインクが染み込みます。

対象をインクで直接染めることになるので、色鮮やかな仕上がりが魅力です。印刷面はなめらかで、プリントのひび割れや剥がれ、色落ちの心配もありません。版を作る必要がないので、小ロットでの印刷が可能です。

昇華転写プリントの仕組み

昇華転写プリントは、昇華型インクを使ってデザインを印刷した転写紙と印刷対象とを密着させ、高温で加熱してデザインをプリント、その後に転写紙を剥がす仕組みです。熱によってインクが気化する仕組みから「昇華」の名が付けられましたが、正確には化学的な意味の「昇華」現象ではありません。

昇華転写プリントの仕組み

昇華型プリンターは、昇華インクをどのように転写するかによってプリンターの種類が異なります。昇華インクが塗られたリボンを使用するタイプ、転写紙にインクを吹き付けるインクジェットタイプ、粉状インクの昇華トナーを使う昇華レーザーの3種類です。

昇華転写プリントがよく使われるアイテム

昇華転写プリントは、ポリエステル素材の生地やポリエステル加工された陶器などに使うことができます。

ポリエステル生地を使ったアイテムであれば、Tシャツやスカーフ、タオルやバックなどの衣類や雑貨がポピュラーです。その他の昇華転写プリントが用いられるアイテムとしては、クッションカバーやカーテンなどのインテリア製品、タペストリーやのぼり旗などの販促物が挙げられます。ポリエステル加工を施せば、陶器のマグカップや金属製のタンブラー、装飾用のアクリルパネルやアクリルスタンドにもプリントが可能です。

昇華転写プリントがよく使われるアイテム

昇華転写印刷とインクジェット印刷の違い

続いて、昇華転写印刷とインクジェット印刷の違いについて解説します。

昇華転写印刷は昇華インク・転写紙を用いて熱でデザインを印刷しますが、インクジェット印刷は対象に粒状のインクを直接吹きかけて印刷します。

昇華転写印刷は、ポリエステル生地かポリエステル加工を施したものにしか印刷できません。インクジェット印刷は、綿や絹などの素材にも印刷可能です。

昇華転写印刷は洗っても色落ちやひび割れが起こりにくいですが、インクジェット印刷は洗濯を繰り返すことで色落ちやひび割れのリスクになります。

印刷方法 デザインを印刷した転写紙に熱を加えて印刷する 粒状のインクを吹き付ける
印刷対応生地・素材 ポリエステル生地、ポリエステル加工アイテムのみ 綿や絹にも印刷できる
印刷の持ち 洗っても色落ちしにくい 洗濯を繰り返すと色落ちやひび割れが起こる可能性がある

昇華転写プリントのメリット・デメリット

最後に、昇華転写プリントのメリットとデメリットをチェックしておきましょう。印刷をするアイテムの素材によっては昇華転写プリントが適さないこともあります。

昇華転写プリントのメリット

・発色が鮮やか

昇華転写プリントはインクの発色が良く、特にフルカラーのデザインの再現率が高いというメリットがあります。グラデーションや細かい柄など、繊細な色の変化にも対応可能です。

・小ロットで制作ができる

昇華転写プリントと同じくノベルティやグッズ作成でよく使われるシルク印刷は、版を作る必要があります。昇華転写プリントの場合は版を使用しないので、比較的安価かつ短い納期で印刷できます。

・素材本来の風合いを損ねにくい

昇華転写プリントは、インクを浸透させることで染める仕組みです。そのため、印刷を施すアイテム本来の風合いが残り、ナチュラルに仕上がります。プリントした部分に違和感やごわつきもありません。

昇華転写プリントのデメリットと注意点

・金色、銀色、蛍光色、特色がプリントできない

昇華転写プリントでは、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)の四色のインクを使ってデザインを表現します。金色や銀色、蛍光色や特色は再現できません。また、デザインを作成するパソコンやスマートフォンの画面は、R(赤)、G(緑)、B(青)の三色で色を表現しています。モニターで見えている通りの色合いにはならないため、注意が必要です。
CMYKとRGBについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

・ポリエステル素材以外の印刷に不向き

先ほどからお伝えしているように、昇華転写プリントではポリエステル生地かポリエステル加工を施したものにしか印刷できません。100%ではないポリエステル混紡素材でも印刷は可能ですが、印刷の濃淡が変わってしまう可能性があります。その場合、生地によって色の調整を行いましょう。加えて、混紡素材の場合は洗濯による色落ちが起きやすくなることがあります。

・アイロンや乾燥機が使えない

昇華転写プリントは、熱を利用してインクを定着させています。再度熱を加えることで、他の衣類への色移り、あるいは色落ちが起きる危険性があります。そのため、アイロンや乾燥機の使用はできません。また、外干しなどで紫外線に長時間当てるとプリント部分の色が薄くなってしまう可能性もあります。

昇華転写プリントの概要やよく使われるアイテム、昇華転写プリントのメリット・デメリットについてお伝えしました。

昇華転写プリントは、繊細で細かなデザインを鮮明に表現できる上に価格もリーズナブルなので、様々なアイテムに用いられています。デメリットもありますが、用途を間違えなければイメージ通りのグッズを作ることができるでしょう。今回ご紹介した特徴をしっかり理解して、思い思いのグッズを作成してみてください。