画像や図形をくり抜く方法! Illustratorの使い方を解説

画像や図形をくり抜く方法! Illustratorの使い方を解説

illustratorで画像を図形を自由にくり抜く方法について、最終的な仕上がり方によって異なるさまざまな手順を紹介していきます。

結果的に同じ見た目になるものでも操作方法が異なっていたり、くり抜きを行った後に編集ができるかどうかなどに違いがあったりと、やり方は複数あるので自分にあった方法を探してみてください。

上の図形の形で下の図形をくり抜く(穴あき図形を作りたい)1

上に重ねた図形の形を、下の図形の中でくり抜いて穴あき図形を作りたい場合、主に以下の3種類の方法があります。

  • 複合パスで図形をくり抜く方法
  • パスファインダーの機能でくり抜きを行う方法
  • 「背面のオブジェクトを分割」でくり抜きを行う方法

それぞれの手順を解説します。

まずは複合パスの機能を使って、穴あき図形を作る方法を紹介します。

①2つの図形を用意して重ね、両方の図形を選択
②右クリックでメニューを表示
③「複合パスを作成」

上の図形の形で下の図形をくり抜く(穴あき図形を作りたい)2

すると、上に重ねていた黄色の円は消え、その形に下の画像がくり抜かれます。

上の図形の形で下の図形をくり抜く(穴あき図形を作りたい)3

くり抜きを行った後は、図形をダブルクリックして編集モードに切り替えて移動させると、くり抜く位置を調節することができます。この時、上に重ねていた図形がはみ出る位置に移動させると、その部分は上に重ねていた図形の形が出現し、その状態で編集モードを閉じると一部がはみ出たような図形に仕上がります。

上の図形の形で下の図形をくり抜く(穴あき図形を作りたい)4

なお、この時上に重ねていた元の図形は完全に消えたわけではありません。再度右クリックのメニューから「複合パスを解除」を選択すれば別々の図形に戻ります。ただしこの時、上に重ねていた図形の色設定は下の図形と同じになって復元されます。上記の例の場合、複合パスを解除すると長方形と円が別々になり、どちらもピンク色になります。

上の図形の形で下の図形をくり抜く(穴あき図形を作りたい)5 上の図形の形で下の図形をくり抜く(穴あき図形を作りたい)6

同じ結果を得られる方法として、パスファインダーでくり抜く方法もあります。

①2つの図形を重ねてどちらも選択
②「ウィンドウ」の「パスファインダー」などからパスファインダーのメニューを出し、「形状モード」で「前面オブジェクトで型抜き」を選択

パスファインダーの機能でくり抜きを行う方法1

この方法では、前述の複合パスと同じ状態で図形がくり抜かれます。よって、複合パス同様に図形をダブルクリックして編集モードに切り替えると、穴あきの位置を調整できます。上の画像がはみ出るように配置した際にも、複合パス同様にはみ出た部分が図形となって現れます。

また、「形状モード」で「中マド」を選択した場合もくり抜かれる形は同じになりますが、下の図形の色は保持されず、上に重ねた図形の色が反映されます。よって色を変えずにくり抜きたい場合は必ず「前面オブジェクトで型抜き」を選択しましょう。

パスファインダーの機能でくり抜きを行う方法2

3つ目は「背面のオブジェクトを分割」という機能でくり抜く方法です。

①2つの図形を用意し、上の図形のみを選択
②「オブジェクト」から「パス」のメニューを開き、「背面のオブジェクトを分割」を選択

「背面のオブジェクトを分割」でくり抜きを行う方法1

他の2つの方法と異なり、この操作を行った直後は上の図形は下の図形と同じ色になり、別々の図形として残ったままの状態になっています。しかし、上の図形のみを移動させると、その形に下の図形がくり抜かれています。

「背面のオブジェクトを分割」でくり抜きを行う方法2

ここまで紹介した方法は、図形などの「パス」をくり抜く場合のみに適応できる方法です。くり抜かれる側が画像の場合、同じ方法ではくり抜くことはできません。

画像をくり抜きたい場合の手順は以下の通りです。

①くり抜きたい形に先に図形を作り、画像の前面に配置する
②画像と図形を両方選択
③右クリックのメニューから「クリッピングマスクを作成」を選択

画像をくり抜きたい場合1 画像をくり抜きたい場合2

先に用意していた図形と同じ形で画像がくり抜かれます。

画像をくり抜きたい場合3 上に重ねた図形で下の図形の一部を欠けるようにくり抜く方法1

穴あきの図形ではなく、上に重ねた図形が下の図形からはみ出るようにくり抜き、一部が欠けているような図形を作りたい場合は、前述した「パスファインダー」の「前面オブジェクトで型抜き」の機能を使います。「複合パス」を使って切り抜くと、上に重ねた図形のはみ出ている部分も図形として残ってしまうので注意しましょう。

①2つの図形を用意し、下の画像が任意の形に欠けるように上の画像を重ねる
②両方の図形を選択
②「ウィンドウ」の「パスファインダー」などからパスファインダーのメニューを出し、「形状モード」で「前面オブジェクトで型抜き」を選択

上に重ねた図形で下の図形の一部を欠けるようにくり抜く方法2

なお、穴あき図形を作った時と異なり、「前面オブジェクトで型抜き」の機能を使って最初から欠けている状態の図形を作った場合、図形をダブルクリックして編集モードにしてもくり抜き位置を調整することはできません。一方「複合パス」の場合はどこへ移動してもはみでている部分は図形として現れ、はみでない位置に移動させれば穴あき図形にすることも可能です。

上に重ねた図形で下の図形の一部を欠けるようにくり抜く方法3 下にある画像や図形を上に重ねた図形の形にくり抜く1

この画像は、元々長方形の写真を丸の形にくり抜いた状態です。このように下に置いた写真などの画像を、上に置いた図形の形にくり抜きたい場合は、クリッピングマスクという機能を使用します。クリッピングマスクとは、下の図形と上に重ねた図形の重なっていない部分を非表示にする機能です。

下にある画像や図形を上に重ねた図形の形にくり抜く2

手順は以下の通りです。

①図形や画像の上に、切り抜きたい形の図形を重ねる
②画像や図形を両方とも選択
③右クリックから「クリッピングマスクを作成」を選択
クリッピングマスクでは、下の図形や画像の消えている部分は非表示になっているだけなので、ダブルクリックで編集モードにすればくり抜いた後に位置の調整が可能です。

また、解除したい場合は図形を選択し右クリックから「クリッピングマスクを解除」にて元の2つの図形に戻すことができます。

長方形や楕円などのシンプルな形状に切り抜く場合は、先に紹介した図形とクリッピングマスクを使う方法で対応できますが、人物や動物、物など、画像の一部を切り抜きたい場合は、ペンツールでなぞって切り抜く方法があります。

ツールパネルからペンツールを選択し、切り抜きたい形になぞります。ここでは、人物の体に沿うようにしてなぞっています。

なぞり終えると、その形にあたらしくパスが作成されることになるため、画像とパスの両方を選択し、クリッピングマスクで切り抜きます。

画像の中の一部をくり抜く(人物など)1
画像の中の一部をくり抜く(人物など)2
画像内の複数箇所をくり抜く1
画像内の複数箇所をくり抜く2

1枚の画像の中からくり抜きたい箇所が複数ある場合は、先にくり抜きたい形の図形を全て作成し、前述した複合パスを作る必要があります。

ここでは、3つの長方形を作成し、メニューの「オブジェクト」から「複合パス」を「作成」しています。これにより1つにまとまった状態の図形と画像を選択し、クリッピングマスクによってそれぞれの図形の形にくり抜くことができます。

トリミングで不要な部分を削除する

「画像の切り抜き」という機能を使用して画像をトリミングで切り取ることもできます。

切り抜きたい画像を選択し、コントロールパネルの「画像の切り抜き」か、メニューの「オブジェクト」から「画像の切り抜き」を選択すると、編集画面になります。上下左右と角をマウスで移動させて好きなように切り抜くことができます。

最終的な見た目は、これまで説明してきた図形とクリッピングマスクでくり抜く方法と同じになりますが、画像を直接編集できるので場合によってはこちらの方が操作がしやすいでしょう。

ただし、画像の切り抜き機能では画像を直接切り抜くことになるので、クリッピングマスクなどと違って編集後に位置を調整することはできません。

文字で画像をくり抜く方法1 文字で画像をくり抜く方法2

これまで説明してきた方法を使えば、文字の形に画像を切り抜くことも可能です。
画像の上に文字を配置し、両方を選択してクリッピングマスクをかければ、文字の形に切り抜かれます。

今回は、 Illustratorで画像をくり抜くさまざまな方法について、その手順や特徴などを解説しました。

最終的にどのような見た目の図形や画像が作りたいのか、またその後編集できるようにしておきたいのかなどによって、選ぶべき手段は異なります。今回ご紹介した内容を参考に、自分が求めているくり抜き方を見つけてみてください。